タローの日記

そこはかとなく書きつくる

嘘はよくないぞ

 嘘はよくない。僕自身は、これまでの人生で一度だって嘘をついたことがない、といえば嘘になる。誰しも大なり小なり嘘をついたことはあると思うし、善意の嘘だってあると思う。噓といえば、僕はミステリーを読むのが好きで、最近も「葉桜の季節に君を想うということ」という本を読んだ。非常に面白かったのだけど、この手の本は騙されまいと思って注意深く読んでいても騙されてしまう。そこに嘘があるとわかっているのに、嘘を見破れないようなものだ。いや、正確には、別に嘘をついているわけではなく、最初から本当のことしか書いていない。ただ、読み手が勝手に想像を膨らませて、勝手にこうなのだと思い込んでいるだけなのだ。いわば、マジックみたいなものかもしれない。見ているほうの思い込みを、様々なテクニックで助長して、欺くのだ。マジックもミステリーも、そこに何かしらのタネがあるとわかっていても、見破れない。
 ただ、ミステリーはマジックと違って、最後にはちゃんと種明かしをしてくれるし、途中で立ち止まって、注意深くタネの内容を吟味できるところが好きだ(まぁマジックも好きなのだけど)。さて、「葉桜の季節に君を想うということ」も、最初からどんでん返しがあるという前情報は得たうえで読んでいたのだけど、最後まで全く分からなかった。きれいに騙されました。でも、大変に面白かったです。

良きでした